飲食店舗を決める際に、電気・ガス・水道等のインフラは重要なチェックポイントになります。中でもガス容量のチェックはできれば念入りにしたいところです。なぜなら、電気等と比べ、ガスはいざ容量がたりないとなると、大がかりな工事が必要になってしまうからです。もし誤って容量の足りない物件を契約してしまえば、工事に一か月以上の日数を要する事も少なくなく、予想外の出費もかさんでしまいます。そのようなことがないよう、必要な知識を身につけたうえで、物件の契約に臨みましょう。
基本的に建物には一本の供給管からガスが引き込まれています。ガス管は道路の下を通り、建物敷地内で地上に出てガスメーターとつながり、各ガス機器に通じています。そして、ガスメーターには2号、4号、6号などといった号数が割り当てられています。
飲食店では、給湯器やガスオーブン、ガスレンジ、ガス暖房などガスを使った設備が様々あると思いますが、居抜き物件などを観る際、自分の店舗の設備がどの程度の容量を要するのか、それが物件のガスの最大容量内に納まっているかどうかをチェックする必要があります。
ひとことで飲食店と言っても、世の中には、BARやスナックのようなものから、フレンチやイタリアン、中華、ラーメンなど様々な業態が存在します。お酒が中心のバーであればガスはあまり使いませんが、強い火力が料理の要となる中華料理となると、それ相応のガス容量が必要になってきます。このように、業態によって必要なガス容量は異なるのです。
業態ごとの号数の目安は、次の表を参考にしてください。
6号=小料理、寿司、BAR、カフェ
10号=居酒屋、洋食、和食(そば、うどん、天ぷら等)
16号=イタリアン、フレンチ、ラーメン
16号=中華料理
例えば居酒屋をやりたいのだけど、お目当ての物件のガスの号数が6号だったという場合、その物件を諦めるか、工事をするかの選択に迫られることになりますよね。でもその前に確認していただきたいのが、ガス配管の径です。
もしも径の大きさが容量を満たしていれば、東京電力にお願いし、無料で号数をアップしてもらうことができるのです。参考までに、各号数に対する径の大きさは次の通りです。
25A=34mm → 6号
32A=42.7mm → 10号
40A=48.6mm → 16号
都市ガス(13A)の場合、1号=1㎥=11,000kcalなので、10号であれば11,000kcal×10=110,000kcalまで使用可能ということになります。店舗で使用するガス機器のカロリー数をカタログなどから調べ、全てのガス容量の合計数を計算してみましょう。容量内に収まっていれば問題ありませんが、もしもオーバーしてしまった場合は調整が必要になります。
工事をすればよいのでしょうが、前述の通り費用と時間がかさみます。その場合は、一部のガス器具を電気式のものに代替えするという選択肢も考えてみてください。
どうしても工事を余儀なくされた場合、注意していただきたいのが工事代金です。ガスの配管工事の場合、道路からの引き込み工事も、敷地境界線まではガス会社の負担となるため、自己負担しなくてはいけない金額は、敷地内に関する部分のみになります。
また、ガスメーターの交換が必要になった場合も、ガス会社の負担となるため費用はかかりません。万が一、その分の費用を請求してくる悪徳業者がいるかもしれないので、支払いの際にはきちんと明細を確認しましょう。